ライン引き
28日は定山渓で北海道選手権前の最後の試合をしました。当初はメーングラウンドで試合をする予定でしたが、芝の状態が思わしくなく、急きょサブグラウンドの野球場に変更になりました。野球場の方も水不足は芝は疲れ気味でしたが、やむを得ません。
野球場の方は、ジュニアの試合か合宿向けにラインを一度引いたのですが、ほぼ消えていました。同時にこれまで幅が60㍍だったピッチを北海道選手権で幅70㍍にして使うため、新たにラインを引き直すことになりました。某テレビ局の有名アナウンサーのN氏と、おじさんメンバーらでキックオフ前1時間に作業を始めました。ちょっとした手違いで22㍍ラインを1㍍ほど手前に引いてしまうハプニングもありましたが、なんとかキックオフに間に合いました。
真っ白なラインが引かれたグラウンドは本当に気持ちがいいものです。ふだんは芝生のことばかりに気を取られて、ライン引きは他のメンバーに任せてしまうことが多かったのですが
、久しぶりにライン引きをして、野球をしていた学生時代のことを思い出しました。
私が所属した大学の野球部は当時、北海道の1部リーグ(北海道6大学と札幌6大学に分かれる前)に所属していました。当時は札幌大と北海学園大が2強で、 その壁に挑んで、いいところまで行くのですが、負けてしまうの繰り返しでした。そのチームが変わるポイントとなったのが、毎日のライン引きでした。単なるライン引きとはいえ、侮るなかれ、です。
3年のシーズン、札幌の社会人野球チームの監督をしていた先輩がいろいろな事情があってチームのコーチをしてくれることになりました。当時の北海道の社会人野球は全国でも有数の最激戦区で有力チームは東都などのスター選手が入るところで、北海道の大学の野球選手にとっては雲の上の存在でした。
技術的な指導はさておき、そのコーチが指摘したのが、ふだんのあいさつ、用具の手入れといった選手としての基本的な心構えでした。野球部にありがちなあいさつの「ちわーす」は、「だらしないので、『こんにちは』とはっきりと言いましょう」、公式戦の前にしか磨かなかったスパイクは「毎日の練習であっても磨く」「道具はグラウンドに散らばったままにしない」などなど。耳が痛いことばかりでした。
その中で一番変わったのが、毎日のグラウンド整備でした。それまではラインを引くのは試合の時だけ、バッティング練習のピッチャーが開けた穴は守備練習前にトンボでならす程度、外野の草は伸び放題でフェンスの近くでは膝の高さまで伸びていました。
「こんな状態で野球をやるのは恥ずかしくないか」と問われました。そこで我々も渋々ながら、毎日の練習でもラインは、バッターボックスはじめ外野まできちんと引く。ホームベース以外のバッティング練習の場所にもボックスのラインを引く、外野は大学に頼んで刈ってもらう(私が芝刈り機を見たのはこのときが初めてでした)、マウンドとブルペンを使って掘れたところには水で土をこねて元に戻す、といったことをやるようにしました。それと同時にコーチは、それまでレーキとトンボを使ってならしていたグラウンド整備を、廃車の軽自動車でネットを引いてできるようにして作業の軽減もしてくれました。
当時の私は、毎日の練習のためにラインを引き直すなんて考えたことありませんでした。しかし、いざ始めてみると不思議なもので、上のレベルの世界をのぞき見ているようで新鮮でもありました。たまに高校生の練習などを見に行くと、それまでおかしいとは思わなかったラインが引かれていないグラウンドや、使ったままで放置されているブルペンに強い違和感を覚えるようになりました。それと同時にそれまで気付かなかったことにも目が行くようになりました。今、振り返ると、その前はただ惰性で野球をやっているだけで、草野球の延長だったのかもしれません。
今でも球場に行くと、そういうところに目が行きます。10年前の話ですが、プロ野球も行われる道南の球場のプルペンは掘れたまま放置されていました![]()
野球をする環境を整えることができるようになったチームは、その夏に開かれた全日本大学選抜大会(私のチームはコネで出場できた)で、東京6大学で優勝争いを演じて赤門旋風といわれた東大に勝ち、その後のリーグ戦では札大、北海学園大にも白星を挙げるようになりました。そして、私が大学を卒業した年には、17年ぶりに全日本大学選手権出場を果たしました。
25年近くも前の昔話を延々と続けましたが、昨日は寂しいことがありました。我々の試合前にはバーバリアンズのABスコッドが野球場で練習をしていました。北海道を代表するチームがラインを引いていないグラウンドで練習していたこと自体が寂しかったのですが、途中でライン引きの作業で人が入るようになりましたが、だれも気を遣う訳でもなく練習を続けていました。その中で選手の一人がラインを引く導線に足を引っかけ、転びそうになりました。けがをしてもおかしくないような状況で、その時、期せずして、ライン引きを手伝っていた選手を責めるような口調で、その選手の名前が複数の選手から挙がりました。練習の邪魔をするなということだったのでしょうか。
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